art-P capsule

フリーMC。2004年から映画とロックを作っています。ジャンルレスボーカルや表現を生業としている日々を記しています。2004年12月より毎日更新。

all in one 〜夢〜

rubenjuri2008-03-17

古いキャンプ場みたいな、どこか屋外の、森のなかのような施設で、夜、バンド練習。
私は長い通路を、お手洗いへ行く。
お手洗いから戻るも、メンバーが談笑する棟を通り過ぎ、別棟に入る。
古い引き戸を10センチほど開けて、メンバーたちの談笑の様子を眺める。
あれは、ペスの歌姫かなぁ。女性ヴォーカルが居る。
やがて、練習再開。
ああ、いいなぁ。かっこいいバンドだなぁ。ずっと、この距離で眺めていたい。
「なぁなぁjuriさん!」
声をかけられて振り返ると、廃棄するのであろう古いガラス什器を囲んで、数人の若者がたむろしている。
呼ばれて彼らに近づいていく。
「昨日なぁ、一万一千円分、買いもんしたかー?」
「え?したけど。なんで?なんで知ってるの?」
「やっぱり。」
ヒソヒソと、若者達はニヤニヤしながら話し出す。
「ねぇ、一万一千円の買い物、したけど、何?なんで知ってるの?」
多分、メンバーたちが居る棟からだと思うが、誰かが来て、私に言う。
「昨日、必需品や、欲しいと思った物を、自分の意志で、自分の稼いだお金で一万一千円ほど買った!そうやろ!?それだけの事や!それでいいんや!変な噂に振り回されるな!!」
至近距離で喉元を指差しながらキツい口調で強く声高に諭す彼を見上げているのに、逆光なのか、顔がわからない。夜なのに。後光?
とても若いその彼は、シルエットから、マフラーをしていて、パーマ・ヘア。
こんな子、うちのメンバーん中には、居ない。もう一個のユニットの子?知ってる子?
彼は明らかに私をよく知っていて、そしてこの噂とやらについてもよく知っているのだとしたら、知ってる子だろうけれど。
私はそれでも気になって、若者達に問いただそうとした。
で、また、その子に同じようにキツく諭される。
私の中では、突然、今までの記憶がフラッシュバックで遡っていったのだろうか、私は力なく若者達の一人、私に声をかけた子につかみかかった。
「私はいつだって普通にしてる!フツーじゃないって噂されても、どう修正したらいいの!?」
言葉が湯水のように出てくる。いつしか、彼は抵抗せず、私のするままになっていた。
私は止まらなかった。薄いガラスが割れるのではないかと思いながらも、私は彼をガラス什器に力任せにぶつけた。何度も。何度も。



自分のすすり泣く声で目覚める。
目覚めても嗚咽が一向に止まらない。
袖口がどんどん濡れていくので、起き上がる。
起き上がる前に腕時計を見ると、丁度、2時。
ティッシュ・ボックスを抱える。
兄貴の命日だという事は、覚えていたよ。兄貴の彼女からメールをもらっていたし。
私が、誰かと比べて兄貴を責めてしまったから?
そんなこと、ない。
変わらず毎日毎晩、西方浄土に手を合わせて、昨夜だって、そうしてから眠った。
あっという間に、30分経った。
一度、落ち着いても、また、嗚咽が始まる。
私の中に兄貴が居るのだとしたら、これだって、懺悔。
それなら、いくらでもしたい。
私が兄貴にするそれと、兄貴が、すべき、それ。
8コもちがったらオモチャで、何の役にも立つ訳がなかった。
いくらでも、したい。
ごめんなさい。