謙遜は美徳ではあるが。
ちょっとびっくりなくらい、「そうだな、幸せだな。」と肯定する元カレが素敵だな。
「それに、やっぱり、そう言える自然体なところって、奥様の素晴らしい支えもあるからなんだろうね。」
「うん。まぁ、そうだなぁ。」
「素敵だねぇ。」
かっこいいねぇ。
まさか、こんな素敵な人が元カレだったとは、幸せだわ。
「あなた、俺とじゃないと無理だろ?って言ったら、うんって言うよ。俺も、嫁さんとじゃないと、無理だと思うし。」
本当に素敵だ。
一方、俺様ってば。
「2011年の東急インでやった同窓会、来てなかったでしょ?」
「行ったよ。」
「え?どこら辺に座ってた?」
「あなたの隣。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・え?」
「あなたの隣に居ましたよ。」
マジで?ちょっと待って?うっそーん。
「私、1番上席に座らされてたよ。」
「そうだよ。」
「え?私の右隣はミッコで、その右はエンチだったよ。」
「そうだよ。俺はあなたの左隣だったよ。」
「・・・。」
「席を決める時に女子たちが冷やかすように俺とあなたを隣同士にしたんだよ。」
ヤバイ俺。
「あなたは俺が何を話しかけても冷たく“うん”としか答えないから、ヒロに“おい、JURIにほぼ無視されてるんだけど。”って、ヒソヒソ言ってたもん。」
「マジで?」
思い返します。
理由が一つ思い当たります。
出かける直前、ママに「あんた、そんな格好で行くの?やめなさい!ダメ!」って、大反対された。
ダメと言われましても、荷造りして帰省している身としてはコレしかないし、もう行く時間だし。
でも、ママがダメと言うならこの格好はダメなのだ。
すっかり暗い気持ちでエントランスを入ってロビーを抜けてエレベーターに乗り、暗い気持ちのまま会場の階でエレベーターの扉が開いて、一歩、エレベーターを降りた瞬間。
「おう!」
ヒロが声をかけてくれたことで、超、気分が楽になった。
でも、嬉しいから尚一層、ダメな格好で出席したことを悔やんだ。
「俺あの時、“変わらないね”って言って、素っ気なくされて、時間を置いて、再チャレンジで、“相変わらずオシャレでカッコいいね”って言ったんだよ。それでも、頷くだけだったし、ヒロにヒソヒソ言ったんだよ。」
「ごめんね。多分、恥ずかしい格好で来たのに、こんな上座の、みんなに注目される席に居ないといけなくて、堪らなかったんだわ。」
印象深かったのは、隣のミッコとエンチが連絡先を交換して居たり、楽しそうに会話して居たりして、なんかみんな楽しそうでいいなぁって、どんどん物怖じしていったって感じの雰囲気。
あとは、その日の此処で記したことが全て。
元カレと隣の席だったなんてことは一言も記していない。
今日。
メッコから別件の相談の電話があって、小一時間話した後の雑談で、上記について訊いてみた。
「え?そうだよ!?覚えてないの!?」
「隣っていうのは全然覚えてない。」
「嗚呼。あのねぇ。あの時ねぇ、あんた、様子おかしかったよ。おとなしかった。全然喋らんだったもん。」
やっぱりそうだ。
チビチビの頃からそうなんだわ。
松江を出たかったのか。ママから脱出したかったのか。
そんな風に大学受験したのかもな。
ここまでひどいとはね。
そしてそれを知っているようでちゃんと知らなかったとはね。
ママには深い傷があり、それを末っ子で埋めなければ堪らなかったんだろう。
それじゃなければ支配する理由など思いつかない。
ママは愛の深い人だ。
同時に業の深い人だ。
元カレに謝れてよかったけど、私は今でも右隣とそのまた右隣しか思い出せない。
本当に好きな人だったのに。
今、思うのは。
2011年の同窓会でそんな態度をとった元カノが故郷でライブをするから来いと手紙を書いて寄越して、来てくれるだなんてっていう驚き。
私はその同窓会には元カレが欠席したと思い込んだまま、久しぶりで懐かしい想いで案内状を出したが、これが逆の立場なら、「調子のいいやつだぜ。自分の頼み事の時だけ手紙で調子のいいことを書いてやがる。」と、思って、案内にあるライブには行かないだろうな。
ましてや、元カレは忙しくて全然時間が取れなかったのに、駆けつけてくれて、メッコ曰く、「本当は一瞬で出ないと間に合わないのに、1時間半も楽しそうに聴いていて、出てからも私にメールで、あれからJURIのライブはずっと盛り上がったのか?って、気にかけていた。」とのことだった。
思春期とはどうかしている期間だと最近よく口にするけれど、俺様ってば、なんなんだよ、今の期間。
鼻持ちならない。
ありがとう。
故郷にて。
そして
故郷を離れて故郷を想い。
リーダーの投稿ではないけれど、「今までの人生の懺悔も含めて」故郷のツアーを通し、みなさんと触れ合い、そして今、表現と創作に向き合おうと思います。
ありがとうございます。
ママ、
「クセが強い。」byノブ小池