薄々は気づいていたけれど、近頃、痛切に実感する事。
私たち兄妹は、痛点がズレているのだ。
私には、母性が欠落している。
いや、皆無ではないかもしれないけれど。
兄は、親の事さえ考えられない。
これは、父親のせいかもしれないけれど。
私は間違いなく、セガレの存在だけを理由に生きている。
これだけは絶対に間違いない。
そんな細い糸程のワケにすら、
そろそろ、意味がなくなってくるね。
こんなにへっちゃらだよ、かーさんは。
アンタと暮らせなくたってね。
愚かしいだろ、出て来たヒトよ。
わがままだけで、こうなっているんだ。
ママ。
歪な生態をお許しいただきたいのと、
二人ともを、見事にこう作り上げたのは、
紛れもなく、貴女だということを、自覚しないでおいてね。
それは何故かというと、
パパが、貴女に惚れて惚れて惚れぬいた結果だから。
パパめ。
ママをこんな女にしやがって。
パパの亡骸の唇に、頬に、濃厚な接吻させるような、
業の深いバカにさせやがって。
それもこれも、
刻まれた花と果実の悼みか。
細胞は、
意思に関係なく、
否、深く関係して、
増殖、或は減退していく。
好きだという事のために、
この一大事に、
涸れずに流れ続けるものだって、
そこ、ここに、私として、在る。
らしいぜ。