先日、息子と、NHKで米原真里さんの追悼番組を観ていた。
プラハで青春時代を3人の親友と過ごした彼女が、それぞれのルーツに翻弄される3人を訪ねて歩くという内容だった。
その次の日は、越路吹雪の映像を二人で観た。
「あなたはナポリの男よ!どこへ行くの?」と、歌う。
色っぽくて妖艶な『安来節』も初めて聴いた。故郷の民謡を、こんな風に歌う人が居るんだ・・・。そう言えば、私が初めて不夢不無に送った手紙には、『安来節』の歌詞を書いたっけ。
私の故郷?そう。間違いない。でも・・・ルーツは違うらしい。
・・・らしい。転がり続ける4人の華僑が、大河の一滴をここに。
息子には、何が映っただろう。
「華僑?」
民放の『ぴったんこカンカン』を私と観ていた息子がつぶやく。
「ごめん、かーさんにもよーわからん。でもかーさんは華僑。あんたは、半分、華僑。」
年齢をまたひとつ重ねようとするここ数日、ブラウン管を見つめるにつけ、祖国とか血とかが、細胞に情報を埋め込もうとしていた。
んじゃないと、一個、大人にはさせてくれないかのような?