「小さい箱が沢山あって、一つ一つにお題が入っていて、生徒に引かせて1分間スピーチをしてもらうんですよ。そういうの得意ですよね。得意なんだろうなぁ珠里さん。ライブのMC聞いてたらわかりますよ。」
いつもランチと自家製アイスレモネードをお召し上がりくたさる常連様が切り出しました。
「明日の授業ですか?」
「そうなんですけどね。お手本しなきゃダメかな。出来ないなぁって思ってね。」
「先生はお手本なんてしなかったような気がします。」
「そう?」
「遥か昔のこと過ぎてうろ覚えですけどね、確か、お手本なんてなかったですよ。」
「良かった。しないでおこう。」
「あの方、素晴らしかったですよね、ほら、鈴木清順の弟の。」
「鈴木清順の弟?あ、誰だっけな。」
「名前ど忘れしましたね。でも、幼少の頃に、1分きっちりまとめておられたのをNHKで見て子供心に感動しました。」
数時間して、ショートメールが届きました。
「思い出しましたよ。鈴木健二です。」
返信しました。
「そうです!ありがとうございます!」
ロープレ的なことは決して得意ではなくてですね。
コミュ障なんでしょうなぁ。
本番はやれるんすよ。
マイク持つからね。
ギャラ出るし。
スイッチなんでしょうなぁ。