art-P capsule

フリーMC。2004年から映画とロックを作っています。ジャンルレスボーカルや表現を生業としている日々を記しています。2004年12月より毎日更新。

ichie

rubenjuri2009-01-12

吸収力のある幼少期、リアルタイムに、メディアを通して、生き菩薩の表現を照射されてきた事を幸いに思うべきか。
“無冠の女王”・“伝説のひと”百恵ちゃん。
紙面広告を無造作に広げた姉が、『山口百恵は菩薩である。』と、強い口調で言ったので、見ると、平岡正明氏の同名著書の広告のタイトルだった。
幼いながらも、「その通りだ!」と、思った。
数ヶ月経ってからだろうか、TVで、或るドラマがつけッパになっていて、財津一郎が、セリフで、「○○ちゃん(主人公の榊原郁恵)は菩薩だぁ・・・。」と、呟いていた。
ぅわぁ。なんか、どう?ま、いっか。でも、私なら、こんな脚本、書かない。って、思ったな。まぁ、TVドラマだし、手っ取り早く伝える手法のひとつだとしたら、アリかもしれないけれど。


更に幸いなのは、10コ上の姉と8コ上の兄が、百恵ちゃんと同年代だったこと。ただの偶像としてではなく、彼女を考察できていたのではないだろうか。
無冠ではあるが、ノミネートのステージ上にはいつも居た。その存在感たるや・・・。
或る年、ノミネートされた全員が揃ったステージ上に、電話機が運ばれてきた。「百恵さんにお電話が入りました。三浦友和さんからです!」
まぁ、仕込みだろう。ふたりはゴールデンコンビではあったが、まだ、交際宣言をしていなかったから。
でも、受話器を耳に当てた百恵ちゃんの目から、涙が流れたんだよね。あの、無表情の、ショーレースで決して泣かない百恵ちゃんの目から。
姉が私を見て笑っていた。「ね。わかった?」
私は、黙って、頷いた。いつも張りつめるだけ張りつめて生きている女性なんだなぁ。なんて、理路整然とは思えない幼さではあったが、同性として、大人の同性のおねーさんの生き様を見た気がした。


数年後、ふたりは交際宣言をして、やがて、「好きな人の女房になります」と引退宣言をし、出した著書、『蒼い時』を、私はリアルタイムで読んだ。もう、小学校高学年だったので、もう少し、わかるようにはなっていたと思うが、内容はうろ覚えです。
確か、百恵ちゃんは法廷に立っていて、気丈に受け答えし、滞りなく終え、外に出た。当然マスコミに囲まれたが、堂々と、交わして車に乗った。夜、友和氏(実さんって呼んでたんだよねー、百恵ちゃんは♪)から電話がかかり、「大丈夫?」って、言われ、初めて、「とてもこわかった。」って、言っちゃった。


その下りを読みながら、前述の、ショーレース中の電話を受けての涙の場面を、鮮明に思い出したのです。
お姉ちゃんの、不敵な笑みも。
「心を許しているんだよ、解ったか、juriっぺ。」と、言わんばかりの笑み。


大人になるのがとてもゆっくりな時代になったので、あの頃の、百恵ちゃんや姉や兄の世代のハタチ代の人とちがって、私が20歳になったって、なかなか解らなかったです。いや、今だって、あの時代の若い人たちの方が、今の自分よりカッケーし、大人。


百もの恵みを与えられているのに、わざわざ、一個の愛を選んだ、百恵ちゃん。
『一恵』を、望んだってのも、彼女らしくて、カッコイイ。
んー。私は。どれかを選ぶのではなく、一緒に、何かを、やっていける人に出会いたいです。
セガレにそれを見せつけて喜びたい。ママとパパにされてきたみたいに。


何のカテゴリーの引き出しが開いたのか、ここ二日間、ゴールデンコンビの愛の形が頭から離れませんでした。



アパレル引退は、そう、遠くないかも知れないです。それは、発作的に考えた事じゃなく、なんとなく、ですが。ただ、働かないと。出来る事は、ギリギリまで、してみたいとは思っています。迷惑かけないようにしないと。歴代上司のみんな、同僚のみんな、どうもありがとう。
いや、本当に、何があったってわけじゃない。どの分野も、仕事だから巧くやってきています。でも、映画や音楽といった、自分の表現の現場に於いての歴史って、やっぱり、敵を多く作ってきた歴史でもあるのだってことを、痛感しました。知ってはいたけれど、こんなにも孤独なのだって。
「俺はいつでも側に居るから」と、言ってくれるumeでさえ、信じられない時があります。大抵は後で謝ったりお礼言ったりしなきゃならないほど、思い過ごしだけれど。
まず、顔が恐い。素で居る時が、一番恐い。子供の頃から自覚していて、だから、いじられキャラに持っていこうと、初対面から努力します。そう、自分でそう演じます。だから、人前では、素を見せたくない。顔が、恐い。
「juriさん怒っているんですか?恐いですよ。」
あ、ヤバイ。
それで済む時は、いい。でも、今日は、違いました。もう、ギリギリで、限界をとっくに超えていて。
怒ってなんかないよ、普通の顔してるだけだよ。
そう思うと同時に、サービス業の適性、ないじゃん!って。



長く辛い一日が終わろうとしている退勤中に、叔父から着信。
「流通業界にまだ居るんだったら、今から言うタイトルをメモして、webへ行って、読みな。これは、読むべきだ。アメリカのウォルマートから、勉強する事、いっぱいあるから。juriは兄弟3人の中で一番商売人の血を受け継いでいるんだからな。もっと、学べよ。」
あら。
え。
はい。