art-P capsule

フリーMC。2004年から映画とロックを作っています。ジャンルレスボーカルや表現を生業としている日々を記しています。2004年12月より毎日更新。

雨のヌーベル・シノワ

rubenjuri2006-06-22

 兄の連れ合いと、二年ぶりに、今度は神戸で会った。
 仕事で数日の滞在。
 数ヶ月前から、お互いに楽しみにしていたのに、雨。
 兄貴の悪戯か?と、翳めた私だが、彼女は流石連れ合い、そんな事は思わないようで、
 「おかしーなー、私、晴れ女なのにー。」
 と、首を傾げていた。
 おにーちゃん、彼女を私に会わせたくなかったのかよ・・・。


 予約しておいたディナーのお店は元映画館で、設えもそのままのチャイニーズ・レストラン。兄貴と連れ合いは映画フリークなので、面白いかなー、なんて、決めました。
 「あ!この映画は彼と・・・。」「あ、これはロスの映画館で別行動した時に私が観た方の・・・。」「あ、これは・・・。」「あ、・・・。」云々云々・・・。めくるめく兄貴との映画の思い出が展開しておった様子で。
 通された席も、VIP席だったかのような一等の素晴らしい席だった。
 


 小ちゃい頃、よく8つ上の兄貴に映画に連れて行かれたけど、途中でチラッと横の兄貴を見上げたら、眼鏡の男の人に変わっているからいつも驚いた。知らないお兄さんを怖くてジーッと見ると、その人は気付いて私を見下ろす。「あ、おにーちゃんか。」と、安心して、正面に向き直る。


 コースのデザートはココナッツ・プリン。でも、やっぱり移動してお茶したい。
 ギャラリー北野坂の設えの画像を、いつものようにこのブログを覗いて気に入っていたらしいので、覚えたばかりの北野坂を案内しながら移動。雨はやまない。
 仕事の合間に異人館にも行きたいらしいので、一週間通って知り尽くしたランチの美味しいカフェも教えておいて、フレンチのカフェに入った。チョイ馴れ馴れしいフランス人オーナーを適当にいじりながら、
 「6月の終わりだったら、夜のテラスは最高だなーって、楽しみだったのに。雨なんて想定外だよー。絶対、北野坂通りのカフェのテラスでお茶しようと思ってたのにー。」
 と、ずっと二人でぼやいていた。
 今思うと、ケーキセット、安くないか?まけてくれたか?それに「ハーブティ、煎れ過ぎた。」って、持って来てくれたり、「ストロベリーティ、飲んで。」って、持って来てくれたり、ちょい優しいじゃん、オーナー。それなのに適当にあしらったりして・・・。スンマソン。


 風邪の為、嗅覚で食事を楽しめなかった兄貴の連れ合いでしたが、私はとっても楽しくて嬉しかったです。
 オーナーに見送られてカフェを出ると、雨はやんでいました。
 昔よくMCで出入りしていたホテルの本館の方に泊まるという事で、フロントまで送ったつもりが、又、彼女に外まで送られて帰ってきました。
 振り向いても振り向いても、彼女は手を振って立っている。
 「おやすみー!」
 振り向いても振り向いても、彼女は手を振って立っている。
 猫が居る。
 兄貴が居るのかも知れない。
 角を曲がる時、彼女に振り向いて、もう一度手を振った。曲がりきって、「風邪ひいてるから戻れよ」と念じて又戻ると、もう、彼女は居なかった。
 勝った。
 ん?
 あ、勝負じゃないか。


 画像は、VIP席からの見晴らし。