art-P capsule

フリーMC。2004年から映画とロックを作っています。ジャンルレスボーカルや表現を生業としている日々を記しています。2004年12月より毎日更新。

メッセ

rubenjuri2006-02-17

 人食いNoteに食らわれて夜の海を漂ったからだ。



 社食。昼食を摂りながら、ない頭を捻っている。
 周りで凄い人数の同僚たちが私に詰め寄りつつも、各々の持ち場確認に右往左往している。
 Xデーが近い。
 

 博覧会場のような、見通しのよいホール。
 トータルコーディネイトの提案イベント。
 私のイベント。
 幕は切って落とされた。
 スーツの茶髪青年が、会場の隅に立つ私に近づく。
 「何処?」
 私は対角線上の遥か彼方の隅にあるステージを指差した。
 彼は無言でゆっくりとステージを目指す。
 私は常に数人のスーツ姿の上司や同僚たちに囲まれて話を摺り合わせているので、彼を目で追い続ける事もままならないが、それでも会場を常に見渡しているというフリで見届ける。
 ステージ上には、三体のトルソーが私のコーディネイトを纏って佇む。
 各コーディネイトの手には、口紅が握らされている。
 彼はそれを取り、色とタイトルを確認する。
 真ん中のそれを手に取り、タイトルのカードを確認して彼は遥かこちらの私を見た。
 目が合った。
 『何も知らない』
 そう。
 私は、貴方の事を、何も知らない。