俺は
俺様は激しく嫉妬する。
E区々長夫妻にだ。
歴代の区長を知っているが、満を持して登場のU区長とその妻に嫉妬してやまないのだ。
今宵はE区納涼大会。
区長の挨拶に俺様はやんややんやの黄色い声。
俺様を指差して激しく照れながら挨拶を終える区長。
ちっちゃい写真は、クリスタルイブの麗しきおふたりと、いかついK田社長。
小一時間みんなと楽しんで、俺様だけ、キーラーゴへ。
月に1度のレゲエの日。
R太のチョイスするラインナップは、なんかご機嫌なチューンが多いな。
しかし。
納涼大会の日は、必ず毎年、夜の10時になるとU夫妻が数人のみなさんを連れてキーラーゴでお茶だけして〆るというのが恒例になっている。
今年は入って来もしないだろうなぁ・・・。
この爆音じゃ、もう既に来ていても気付いても差し上げられまい。
・・・。
「えーか?」
爆音の中、耳元でU夫人の声。
カウンターん中に入って来て、至近距離。
「わ!えーか?って、えーの?」
「かまへん。」
うそだろ?
ふっつーーーーーに、5人でご来店。
うっそーーーーーん。
若い人たちも、この日は敬遠するってのに。
案の定、オーダーのとりまとめすら出来にくそうなU夫人。
それなのに夫妻は斜め向かいに座っていながら、意思疎通ばっちり。
かっけーろけんろー。
「俺はー何にしようかなー。ビールあかんの?ビールあかんのやったら、何にしたらいいのー。」
と、駄々をこねる。
他の4人はアイスコーヒーやアイスココアやアイスレモンティーやオーレなので、口を尖らせて妻にアピる。
「juriちゃん、そしたらー、焼酎のー・・・。」
「アカン!お酒に変わりはないやないの!!」
この爆音の中を轟く妻の声。
周波数!破壊力!愛!!!!!!
愛おしいオッサン達が可愛らしくて、ソフトドリンクのメニューを渡す俺。
それを頭をかきながら眺めるフリをしながら悩むフリをしながら、「んーーーー。あのーーーー。juriちゃん、ビールぅ・・・。」
妻をチラ見すると、アイコンタクトで、「いれたって」と伝わったので、ニコッと「はい。」って、返事して引っ込む。
爆音の中、夫妻以外は黙ってゆっくりお茶をたしなむ。
夫妻はこの凄まじい爆音の中、反省会そしてミーティング。
うそだろうそだろうそだろ。
シュールの極みだ。
俺がホンにする前に具現している日常なんて。
激しく嫉妬する。
俺様は
今年限りで
メガホンを
おくものである。
ぽてちん。