「成仏相なんだよ。」
地元FM社長がささやいてくれた。
「短くないって、言われた。」
泣きじゃくって奥様から電話がかかる。
長いのかよ!
“長くない”って、言われたのだろう、と、解釈。
「無理せんとってな、無理せんとってな。」
無理する。断固、する。
不夢不無の病室になだれ込んで、半日。
顔の皮膚を指で愛撫する。
私の不夢不無。
足を撫でる。
手の指に指を絡ませる。
最期の数時間は、奥様・お嬢様・ご子息・地元FM社長・陶芸のY先生・私で、彼に添う。
誰が此処に居るのかを、確実に把握している、彼。
私は、彼の右手薬指・小指を、右手で握っていた。
「先生、カッコいいよ。」
と、時折、呼ぶ。
「アンタ、juriさんの前ではカッコつけとんか?エエなぁ、アンタは。」
泣きながら、奥様が軽口を言う。
全員の涙が音を立ててシーツの上に落ちる。
冷静な自分。
今、己は辻褄を合わせているのだ。
倒れてから二年、のたうち回っていたけれど、こうして納得するのだ。
するのだ!
父にも兄にも叶わなかった看取りで、のたうち回っていたのか。
看取る。
不夢不無を、看取らせていただけた。
水入らずのご家族に、感謝しました。
ずっと、永遠に、感謝し続けます。
出会った頃の、彼。
私の、不夢不無の、画像。