art-P capsule

フリーMC。2004年から映画とロックを作っています。ジャンルレスボーカルや表現を生業としている日々を記しています。2004年12月より毎日更新。

半眼半口

rubenjuri2006-12-14

 「成仏相なんだよ。」
 地元FM社長がささやいてくれた。
 


 「短くないって、言われた。」
 泣きじゃくって奥様から電話がかかる。
 長いのかよ!
 “長くない”って、言われたのだろう、と、解釈。
 「無理せんとってな、無理せんとってな。」
 無理する。断固、する。
 不夢不無の病室になだれ込んで、半日。
 顔の皮膚を指で愛撫する。
 私の不夢不無。
 足を撫でる。
 手の指に指を絡ませる。
 最期の数時間は、奥様・お嬢様・ご子息・地元FM社長・陶芸のY先生・私で、彼に添う。
 誰が此処に居るのかを、確実に把握している、彼。
 私は、彼の右手薬指・小指を、右手で握っていた。
 「先生、カッコいいよ。」
 と、時折、呼ぶ。
 「アンタ、juriさんの前ではカッコつけとんか?エエなぁ、アンタは。」
 泣きながら、奥様が軽口を言う。
 全員の涙が音を立ててシーツの上に落ちる。


 
 冷静な自分。
 今、己は辻褄を合わせているのだ。
 倒れてから二年、のたうち回っていたけれど、こうして納得するのだ。
 するのだ!
 父にも兄にも叶わなかった看取りで、のたうち回っていたのか。


 
 看取る。
 不夢不無を、看取らせていただけた。
 水入らずのご家族に、感謝しました。
 ずっと、永遠に、感謝し続けます。



 出会った頃の、彼。
 私の、不夢不無の、画像。