真っ直ぐ見つめてくれていたのも知らないで、此処で泥を吐く数日だった。
涙ながらに告白してくれた彼女は、多分あの子だと思った。
彼女の告白に救っていただいたので、「両想いになりましょうか。」と、ささやいた。
それから徐に名乗ってくれた彼女は、やはり私の思った通り、彼女だった。
私の映画を2本、観てくださっているという、そのヒントだけで、芳名帳を繰らなくても、彼女の字体と名前が浮かんだ。バランスのいい、きれいで丁寧な、文字。
ここのところの私の状態を直視させて、泣かせて、ごめんなさい。
芳名帳は、繰っていない。
でも、
彼女の名前の、彼女の文字が、鮮明。
「両想いになれますか?」
今日一日、携帯電話も携帯しないで、バタバタと現場から現場へ奔走しながらも、彼女からの硝子のような問いかけに対する答えを、もう決まっている答えを、どう表現しようかと考えていた。
「私は貴女が劇場に来てくれる事をイメージしましょう。私は少し照れるでしょう。
そのイメージを持ち続けながら、自分自身を表現しましょう。現身を、怖がりながら。
ありがとうございます。」